転職、それは人生の中でもめずらしくない転機。
卒業して就職したら一生その会社で勤めあげるぜ!というほうが少ないのかもしれません。

転職して、次の就職まで1ヶ月あるねんけど、健康保険ってどない手続きしたらええんやろ?

いくつかパターンがあるから、詳しく説明するよ
社会保険から国民健康保険に切り替える日、また就職してから社会保険に加入する日によって、保険料の計算方法が変わります。
その期間が1ヶ月に満たない場合には、国民健康保険料はかからずに、病院の自己負担も3割になることがあります!←ココ重要!
また逆パターンで、その手続き方法をよく知らず、何もせずにいたがために、10割負担になってしまう人もいます。少しでも早く相談さえしてくれれば…と思うのですが、あとの祭り。
面倒くさいかもしれませんが、正しく賢く手続きして、万が一の病気怪我に備えましょう(・∀・)
いざ転職!社会保険じゃない期間は国民健康保険に入るべし!

日本の健康保険制度は、「皆保険制度」(かいほけんせいど)といって、全員が加入することになっています。
会社に就職して勤務先の社会保険に入る、家族の社会保険の被扶養者になっているなど、社会保険に加入している人以外は、国民健康保険に入ることが法律で決められています。
会社を退職して社会保険じゃなくなった場合、健康保険の手続きには3通りのパターンがあります。
- 家族が社会保険に入っていれば扶養に入れてもらう
- 退職した会社で社会保険を任意継続する
- 国民健康保険に入る
まず家族(被保険者)の扶養に入れてもらう場合
こちらは健康保険料は増えません。被保険者である家族の社会保険料は、被保険者の所得から計算した標準報酬額によって決定されるため、何人扶養していても保険料が変わらないので、これが選択できるなら一番お得です。
ただし、被扶養者になるためには収入制限があり、退職後の年間収入が130万円未満であるなどの条件を満たすことが必要です。この場合の収入は1月から12月までの1年間の収入合計ではなく、その日以降の1年間の収入見込みです。
130万円を12で割ると1ヶ月108,333円以下ということになりますね。雇用保険の日額が3,611円を超えてもダメです。※他にも条件がある場合も←健康保険によって異なります。
次に、任意継続する場合
こちらは、「過去に2ヶ月以上健康保険の被保険者期間があること」「退職日から20日以内に手続きすること」といった継続するための条件があります。
また、一旦加入すると最大2年間、途中で辞めることができません。辞めることができる場合は、原則として「次の会社に就職して社会保険に加入する」か「後期高齢者医療制度に移行する」か「被保険者本人が死亡した」場合のみです。
そのため、やっぱり途中で「家族の社会保険の扶養に入ろう」とか「国民健康保険料の方が安いから切り替えよう」ということができません。
保険料は、退職時の標準報酬月額をもとに計算しますが、通常、社会保険の時は会社と自分で半分ずつ保険料を負担していましたよね?
その会社負担分も含めて自分一人で払うことになるため、簡単に考えて概ね2倍が目安です。
詳しい金額が知りたい場合、ご自身が加入していた社会保険に確認したら試算してくれますよ。
どれも選べない!という場合は、必然的に国民健康保険を選ぶことになります。
任意継続よりも国民健康保険の方が安い場合は、国民健康保険にするという方も多いです。

任意継続と国民健康保険、どっちが安いかわかんないよぉ〜
そんな方は、市役所・区役所の国民健康保険の窓口で、前年度の所得がわかるもの(源泉徴収票や住民税決定通知書、課税証明書など)を持っていけば、国民健康保険料も試算してくれます。
しかし、たまーに所得の一部だけがわかる書類を持ってきて試算額を出し、国民健康保険のが安いと思って加入したところ、予定外に保険料が高くなってしまい「試算額と違う!それなら任意継続にしたのに!」とお怒りになる方もいます。

給与以外の収入があるのに、源泉徴収票だけ持ってきても無理やでな
国民健康保険に加入されるまでは、担当部署はその方の税情報、すなわち所得情報を見ることはできない(権限がない)ため、正しい所得が把握できません。
試算の時点で過少申告しても保険料は安くなりませんので、最初から正しく試算してもらえるように情報を提供しましょう。
国民健康保険の詳しい説明はこちらもあわせてご参照ください。
転職する時の国民健康保険の手続きの方法

では、いざ「国民健康保険にしよう」と思った場合の手続きなどを説明します。

すでに病院に通っている、今後受診する予定がある方は、手続きが遅れないように注意してね。
まずは加入手続きをしよう
国民健康保険の加入手続きは、市役所・区役所の国民健康保険の窓口で行います。
国民年金と同じ窓口になっているところも多いので、国民年金の減免手続きもあわせてできる場合がありますよ。
持っていくものは、「社会保険の喪失証明書」です。身分証明書や印鑑は要らない場合も多いですが、念のために持っていってもいいでしょう。

ソウシツショウメイショ?会社の退職証明書でもいいの?
ここで大切なのは、「いつ社会保険の資格を喪失したのか」がわかる書類です。退職証明書の場合、退職日しか記載されていないことも多く、健康保険の資格喪失日が記載されていないと、いつから国民健康保険に加入していいのかわかりません。

会社の退職日が健康保険の喪失日とおんなじちゃうんかい!わけわからんこと言いやがって、お役所仕事やのう!

はいはい、同じじゃないんですよぅ〜
なぜ確認できないのかというと、先ほど述べた「任意継続」をしている場合は社会保険の資格を喪失していない可能性もあるからです。
そういう人は国民健康保険に加入する必要がありませんし、二重で健康保険に加入させるわけにいきませんので、きちんと確認が取れないといけないのです。
お堅い話をするとそうなっちゃうんですが、実際は「じゃ無理ですね、また来てください」とも言えないので、「退職証明書などで退職日が確認できて、加入していた社会保険がわかるもの(返却前の健康保険証など)を示してもらった場合」には、加入していた健康保険や退職した会社の厚生担当者に電話で確認して、資格喪失日の確認が取れた場合には手続きを行うこともありました。
そして、よく勘違いするのが、「退職日=資格喪失日」ではなく「退職日の翌日が資格喪失日」です。※国民健康保険組合の場合異なることがあります。
これを理解していない会社の厚生担当者が、勘違いして退職日を資格喪失証明書に記載することが良くあるのですが、そうすると1ヶ月分余計に国民健康保険料を支払わなければならなくなる場合があるので要注意です。(理由は後述で説明します)
※たいてい国保の担当者が気付いて「これ間違ってますよね」とご本人に確認したうえで、退職した会社に電話で確認してその場で訂正してもらえれば、翌日で手続きするのですが、たまに間違いを認めない担当者もいたりして…。
いずれにしても、書類不備で会社や健康保険に確認したりすることになると、手続きに時間がかかってしまうので、事前に確認できるとベターですね。
そして、加入手続きは社会保険の資格喪失日から14日(2週間)以内に行いましょう。

2週間過ぎちゃった…どうなるの?
安心してください!2週間過ぎても国民健康保険は加入はできます。

え、じゃ、なんで2週間以内にしなあかん言うねん!

感情の起伏が激しすぎるやろw
国民健康保険は、いつ加入手続きをしても資格喪失日に遡って国民健康保険に加入することになります。しかし、2週間以内に加入手続きをすると給付が受けられる日も、資格喪失日まで遡りますので、病院の自己負担も3割になります。
2週間を過ぎてしまうと「加入手続きをした日から」しか給付が受けられません。加入手続きをする前に病院を受診していた場合は10割自己負担になってしまうのです。
国民健康保険証には「資格取得日」と「給付開始日」が2つ記載されているのは、それぞれの日にちが同じではない場合があるからなんですね。
そして、加入手続きが遅れても、国民健康保険料は資格喪失日からきっちりかかります。
保険証はすぐにもらえる?すぐに病院を受診したい時はどうする?
国民健康保険証は、市役所・区役所の窓口で加入の手続きをしてもすぐにもらえない場合があります。※もしかするとその場でもらえるところもあるかもしれません
わたしが勤めていたところでは、その場ですぐに渡していませんでした。加入手続きをした後、住民票のある住所に通知書を送り、それが届いたら窓口に取りにきてもらうという方法です。

なんで、そんなめんどくさいことするん?
理由は「居住地確認」のためです。住民票があってもそこに住んでいないという人が稀にいるため、転送不要の郵便できちんと郵便が届くかどうか確認します。実際に住んでいない人の健康保険の資格を作るわけにいかないですからね。
自宅に通知書が届いたら、窓口に持参し健康保険証を受け取ります。
最初の手続きの際に足りないものがあったり、国民健康保険料の減免に必要な書類があったりすれば、この時までに用意して持ってくればOKですよ。

なるほど…もしそのまま保険証を取りにいかへんかったらどうなるん?

時々、いい質問するよねw
国民健康保険の資格は、保険証を交付した時点で確定させるので、通知書を送った段階ではまだ仮の状態です。取りに来なければ、一定の期間が過ぎれば自動的に仮状態が消えて、届出がなかったものとみなします。(手続きに来た履歴だけは残ります)
定期的に病院を受診している場合や、退職して社会保険の資格がなくなってすぐに病院にかからなければならない場合には、まだ国民健康保険証が手元にない!ということがあります。
その場合は、病院の窓口で「社会保険から国民健康保険に切り替えの手続きをしている」ことを必ず伝えましょう。
たいていの病院は、その月の最初に受診した日に健康保険証を確認するはずです。もし保険証がなければ「一旦10割支払って」ということもありますが、その場合は同月内に健康保険証と領収書を持っていけば7割は返金してもらえるはずです。
病院は月ごとに請求をまとめますので、翌月になってしまうと病院では返金が受けられない場合があります。
その場合は国民健康保険の窓口へ健康保険証と領収書を持っていき、返金手続きをしてください。おそらくその場で現金ではなく口座振込になるので、振込先の銀行口座も持っていきましょう。
退職後すぐに病院を受診したら、国民健康保険の手続きはすみやかに!
先に病院に行ってしまっても、資格喪失日から2週間以内に加入手続きさえしていれば、資格喪失日に遡って給付が受けられます。
もし、すでに2週間を過ぎてしまっていたら、「手続き日=給付開始日」になるので、病院に行く前に(もしくはその日中に)、最低限窓口に行って加入手続きだけは済ませておきましょう。
14日経過後に国民健康保険の加入手続きをした場合、それ以前に受診した分は、10割負担になります。
就職する時には喪失手続きをお忘れなく
国民健康保険に加入した後、再度就職した、家族の社会保険の扶養に入ったなど、他の健康保険に加入した時点で、国民健康保険の資格は不要になります。
社会保険の保険者から「この人、社会保険に入りましたよー」という情報は入ってこないので、市役所・区役所の窓口に行って自分で資格喪失の手続きを済ませましょう。
必要なものは、新しく加入した社会保険の健康保険証のみです。もし、保険料に過払いがあったら返金されますので、振込口座情報は念のためにお持ちください。
資格喪失の手続きをしないと、いつまでも国民健康保険の資格が残ったままになるので、保険料もかかったままです。口座引落とししているといつまでも引かれ続けますし、納付書で支払っていたなら未納状態となり、そのうち督促状が届きます。
未納である情報が残っている限りは、回収しなければなりませんので、その分のコスト(税金)もかかります(郵送料とか人件費とか)。早めに手続きしましょう。
国民健康保険料はどうなる?かからない場合もあるってホント?

通常は保険証を受け取った(交付された)時点で、当年度分の保険料が計算され、支払い方法などの説明を受けます。
加入した月に応じて前年度の所得をもとに賦課されます
国民健康保険料は、前年度の所得に応じて計算されます。
そして加入した月から、毎年国民健康保険料を一斉に決定する月の前月(毎年6月が決定時期であれば5月)までの保険料を支払い月数で割った額が1ヶ月の支払い額になります。
例)9月30日に退職した場合
10月1日が資格喪失日=国民健康保険の資格取得日
10月から翌年6月までの保険料が8ヶ月80,000円の場合
→10月から翌年5月まで支払は8ヶ月
80,000円÷8=10,000円が1ヶ月あたりの支払額になります
そして
例)上記の人が4月1日に就職し社会保険に加入した場合
3月31日が国民健康保険の資格喪失日
10月から3月までが国民健康保険
→結果的に保険料は6ヶ月分60,000円に変更
すでに支払った保険料が70,000円の場合
→10,000円過払いのため返金となります
一般的に、このような計算方法となります。
保険料はかからない!でも病院は3割負担OK!の場合とは
しかし、退職日や就職日が必ずしも月末31日や月初1日とは限りませんよね。
国民健康保険は毎月、月末にその月の保険料が賦課されます。
すなわち、月末日時点で資格がある人に対して保険料が発生するということです。
例えば、9月1日に国民健康保険に加入した場合
9月から保険料がかかることになりますが、もし9月20日に就職して社会保険に加入したとしたらどうなるでしょう。
その月末、すなわち9月30日には国民健康保険の資格は存在しないため、国民健康保険料も発生しません。
もし一旦、9月分の健康保険料を払ってしまっていても、新しく加入した社会保険の健康保険証をもって手続きをすれば返金されます。そして、9月1日から20日の間に病院を受診していても大丈夫です。7割返せとは言いませんので、ご安心を!
先ほどの社会保険喪失日と退職日を間違えるケースですが、
9月30日退職なのに資格喪失日を10月1日にせず9月30日としてしまうと、たった1日のために1ヶ月分余計に保険料がかかってしまうというオチでした。くわばらくわばら。

どうせすぐ就職するし、国民健康保険の手続きしなくてもいいやろ♪
と思うかもしれませんが、ある日突然病気や怪我をするかもしれません。
実際に救急搬送されて、国民健康保険の手続きをしていなかったがために、入院手術費などがすべて自己負担10割になってしまう、なんとかならないのか!と怒鳴り込んできた方もいます。(でも自業自得としか言えないの…不公平になっちゃうから)
それが資格喪失日14日以内なら、受診後に手続きしても間に合いますが、ギリギリになってからだと手続きに行きたくても開庁時間に間に合わないこともあります。
退職の翌日から意識不明でやむを得ないなど、よほどの事情でもない限り遡及してはくれません。
とくに月末を跨がないのであればなおさら、14日以内に手続きだけでもしておいて損はありません!
だって合法的に保険料はかからないのに、病院の自己負担は3割で済むんですから。
次の社保加入まで数日間であり、その間に病院受診するかどうかわからないという場合、とりあえず申請だけはしておいて、仮の状態にしておくことをオススメします。
そのまま次の社会保険に加入するまで病院を受診しなかったら、保険証を受け取りさえしなければ資格も保険料も発生しません。
一旦資格が確定したら、社会保険証を持って資格喪失の手続きに行かない限り保険料はずっと計算されてしまいます。
今月中に社会保険に加入することが決まっているなら、保険料はそもそもかかりませんので、最初から保険証を受け取らなければ、就職後に仕事を休んでまで喪失手続きにも行く必要がなくなるというわけです。
ただし、やっぱり社保加入が月末を超えてしまう場合は、国民保険料は病院を受診するかどうかにかかわらず払うべきものなので、本来のとおり適性に加入手続きをしましょうねw
国民健康保険のメリットを最大限活用するメリット:まとめ

それではまとめに入ります。
なんかけっこう予想外に盛りだくさんになってしまいました。
最後までお付き合いくださりありがとうございました。