生活保護を受けられるのはどんな人?元ケースワーカーが語るわかりやすい生活保護のいろは

ライフイベントと社会保障

前回の生活保護ってそもそもなんのためにあるの?では、

ゆずきりん
ゆずきりん

生活保護は「健康で文化的な最低限度の生活」を保障するための制度だよー

という、めちゃくちゃ基本の基本的なお話をしたんだけど…

えーとさん
えーとさん

んで、一体どんな人が受けられるの?

っていうお話を今回はしていこうかなーと思います(まる)

自分にはあんまり関係がないという人も、知識として知っておくと役に立つかも(ホントかよw)

ゆずきりん
ゆずきりん

公務員時代に生活保護のケースワーカーとして仕事していた経験談も踏まえてわかりやすく解説するよー

ごきげんさん
ごきげんさん

ケースワーカーって何?

生活保護ケースワーカーってなぁに?

生活保護を受けたいという人の相談や申請を受けて、受給の決定をしたり、保護費の計算支給をしたり、実際に受給している方の自宅を訪問したり、自立に向けて必要な支援をする人のこと

わたしがケースワーカーをしていた当時は、だいたい80世帯くらいを担当していて、その世帯構成もさまざま。

単身の方もいれば母子世帯の方もいたし、当然それぞれに困っている状況も理由も違う人たち。

最初は、そんなに顔と名前覚えられるの?って不安になったけれど、そこはひとり一人と向き合うと自然と覚えられるという不思議。

さまざまな相談を受けたり、定期的に訪問したりしていると、その人の家庭状況や抱えている課題までいちいち書類めくらなくても頭に入るもんですね。

というわけで、本題にはいりますw

あわせて読みたい生活保護ってそもそもなんのためにあるの?〜元ケースワーカーが語るわかりやすい生活保護のいろは

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生活保護ってどんな人が受けられるの?

生活保護ってどんな人が受けられるの?
ごきげんさん
ごきげんさん

収入がなくて生活に困っている人?

ゆずきりん
ゆずきりん

ざっくり言うとそうなんだけど、今回はもうちょい突っ込んでいくね

「健康で文化的な最低限度の生活」を保障するための制度って事は前回も書いたとおりなんだけど、

「健康で文化的な最低限度の生活」という生活保護のケースワーカーを描く漫画やドラマでも題材になってたことがあるので、この文言はご存知の方も多いよね。

健康で文化的な最低限度の生活 1 /小学館/柏木ハルコ
by カエレバ
ゆずきりん
ゆずきりん

生活保護が受けられる人ってのは、きちんと条件があるよ

めちゃくちゃ簡単に言うと、生活保護って「収入も資産もなくて、健康で文化的な最低限度の生活を送ることができない人」に対して「その生活を維持するに足りない分」が支給される制度というもの。

生活保護は「最後のセーフティネット」ともいわれているんだけど、他のあらゆる手段を活用してもなお生活に困窮する場合にやっと受けることができる制度だから。

(保護の補足性)
第四条 保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われる。2 民法(明治二十九年法律第八十九号)に定める扶養義務者の扶養及び他の法律に定める扶助は、すべてこの法律による保護に優先して行われるものとする。

生活保護法より抜粋

なんか難しい条文、キター(涙)

ゆずきりん
ゆずきりん

噛み砕いて説明するから泣かないでーw

生活保護の第4条に書いてあるとおり、預貯金があればもちろんそれを使い果たしてから、資産があれば売却して生活に充てられないか検討する、年金がもらえるなら受給するっていう、他のあらゆる手段を活用することが生活保護よりも優先となる。

それ以外にも児童手当や児童扶養手当など活用できるものはすべて活用したうえで、それでも最低限度の生活はできないとなったら足りない分が支給されることになる。

その下の「民法」なんちゃらっていう「扶養義務者」っていうのはなんのこと?

ゆずきりん
ゆずきりん

ちょっと?だいぶ?前に芸能人の親族が生活保護を受けていて話題になったことがあるよね

民法で扶養義務者(互いに扶養する義務のある人)っていうのはきちんと定められているんだけど、ここでは混乱するのであえて細かくは書かないんだけど、

夫婦や親子、兄弟姉妹、同居している人は、お互いに生活を援助し合う義務があるっていうのが原則なので、自分が収入も財産もなくて生活できない場合でも、扶養義務者の援助が優先されるよってこと。

国民が支払っている税金で誰かの生活を保障する前に、活用できる収入や資産がないか、身内である親族からの援助が受けられないか?あるならそれが先だよね、という考え方。

もちろん資力の活用には、自分自身の労働も含まれるので、働けるなら働いてお給料をもらうのが優先。足りない分が生活保護としてもらえるということになるよ。

ただし、扶養義務者がいるからダメ、働けるからダメといった単純なものではないので、諦めなくてもいいよ。

ゆずきりん
ゆずきりん

扶養義務者がいても援助が受けられない、働けるけど就職先が見つからない…っていうことも考慮されるべきだよね。

アース法律事務所

生活保護は収入や資産以外にも条件はあるの?

生活保護は収入や資産以外にも条件はあるの?

突然の病気、事故…人生とは予想しないことが起こり得る。

「備えあれば憂いなし」なんていうけれど、いつまでも備えがあるわけじゃなく、いつか底をつき、身内の援助も得られない、生活もままならない状態となったら、

それをなんとかするのが生活保護の目的なので、生活に必要な費用(保護費)を支給すれば解決かっていうと…

ゆずきりん
ゆずきりん

それで終わりじゃないんだよ。

生活に困窮している人が、金銭だけではなくて「自分自身で生活していくために必要な支援をする」ことが生活保護の目的でもあるので、

病気で働けないのであれば、病気を治療するための費用も支援されるし、失業したのであれば再就労のための費用の支援も行う。

受給できる手当や年金があるんだけど、自分では手続きができないという人には、その手続きをサポートしたりもする。

ゆずきりん
ゆずきりん

自分自身の努力だけではなかなか解決しないことってあるよね。

ふむふむさん
ふむふむさん

再度、自立した生活が送れるように手助けをするんだね

ただし!そのためにはいくらケースワーカーが頑張ってもできないことがある。

それは、本人が自立に向けて努力すること。

病気であればまず治療に専念しなければならないし、失業状態であれば再就労に向けて就職活動をしなければならない。

ゆずきりん
ゆずきりん

さっきの生活保護法第4条をもっかい見てほしいー

わかった!「能力その他あらゆるものを〜活用する」ってことだから、本人も努力しなくちゃダメってことだ!

今、自力で生活ができないのならその要因を可能な限り排除するように務める必要があるということ。

これらはもちろん、衣食住であるとか、健康であるとか、まず生きるために必要な生活基盤がないと解決できないので、そこは維持できるように生活保護費として支給しましょうね、と。

そうすれば、生命や最低限の生活すらできないという不安を抱くこともなく、あとは自立に向かって頑張りましょうね、というのが生活保護の仕組みであり、ケースワーカーの仕事のいちばん大きな部分でもある。

とはいえ、病気の場合はそう簡単に治るとも限らないし、高齢者の場合は就職自体が難しいこともある。

当然、その人の状況に応じて判断するので、一律に「いつまでに就職しないと保護打ち切ります!」なんてことはない。

ただし、

らんらんさん
らんらんさん

生活保護費でじゅうぶん生活できてるからこのままでいいや~わーい

…なんて、病気の治療もきちんとせずに、職にも就こうと努力もせずに、保護費もらってぬくぬくしているだけの状態だと判断すれば生活保護が受けられなくなることもあるよ。

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岡田法律事務所

生活保護を受給したい場合はどうすればいい?

生活保護を受給したい場合はどうすればいい?

生活保護の制度については「生活保護法」という法律で詳しく定められている

生活保護の受給の決定や、毎月の支給額、保護の廃止(やめることを廃止といいます)は、実施機関といって、市町村の保健福祉課や保健福祉センターなどがすることになっている。

ゆずきりん
ゆずきりん

いわゆる市役所や区役所、町村役場の福祉事務所とかだね

役所では、どこに住んでいる誰が生活に困っているとか、失業したとか、住民の世帯状況を把握しているわけではないので(プライバシーもあるし)、生活保護は申請主義が原則。

なので、自分で役所に行って申請する必要があります。※例外あり

びくびくさん
びくびくさん

申請して困窮していると判断されたらその日にお金がもらえるの?

ゆずきりん
ゆずきりん

その日にお金がもらえるということはまずないと思ってもらって差し支えない!

さっき書いたとおり、生活保護の受給を決めるために、まず活用できる収入や資産、手当や年金がないか、親族の援助はしてもらえるか、調査しなければいけない。

それらを総合的に判断してから、生活保護の受給の可否を決定するので、どうしても時間はかかっちゃう。

だから、もう今日食べるお金がない……という状態まで我慢してから相談に来るのはやめようね

窓口にやってきて、

今日お金くれへんかったらなんも食べられへんやんけ!死ね言うことか!

っていう人が、たまーーーにいますが、お金だせないんですよ、コレが。

どんなに困っていると言われようとも、基本的には即日お金を渡すことはできないし、そもそも現金はほとんど管理してないしw

生活保護の支給決定は申請から2週間以内と決められているので、最低2週間は食いつなげるようにしておいてね。

ゆずきりん
ゆずきりん

決定と支給は別なので、決定してから何日に支払いますという通知がくるよ

この2週間の間に、ケースワーカーは資産調査や家庭訪問(面談)を行う。

この家庭訪問の時に、ケースワーカーから困窮の経緯や普段の生活状況を把握するため、けっこう細かい質問をされる。

それこそプライバシーにも関わることを多数聞くことになるけど、保護が必要かどうか判断するためなのでできる限り答えてね。

ヒアリングのポイントは、生い立ちから現在に至るまでの状況(さらっと要点だけ)、収入資産、就労歴、病気の有無、親族関係などなど。

もちろんウソはついたらダメですよ。

保護費もらうために虚偽の申告したら、それは詐欺になるからね。

収入資産についてはヒアリングだけじゃなくて、実際に金融機関等々にも問い合わせるので嘘をついたらバレます。

もし、収入や資産がいくらかあって、それでしばらく生活できる場合には、その間に生活立て直す努力をしてみて、それでもやっぱりお金がなくなって困ったらもっかい相談来てね、ということもあるよ。

生活保護費の財源はみなさんの税金。

その人にとって得になるかどうかではなく、本当に困窮していてやむを得ない状態か、他に手段はないか…など、ケースワーカーには公平な判断が求められるのです。

岡田法律事務所

申請=100%受給できるわけではない…でも相談してみて!

申請=100%受給できるわけではない…でも相談してみて!

活用できる資産も、受給できる手当も年金もなくて、収入もない状態であれば、多くの場合は生活保護を受給できる。

必ずといえないのは、困窮とひとことに言っても、置かれている状況は人によって千差満別だから。

もうどうしようもなくなって申請したものの、本人がまったく知らなかった資産が発覚したり、手続きしていないだけでじつは年金がもらえることがわかったり、親族に連絡したら援助しますと申し出があったり…ということも実際にあるのです。

ゆずきりん
ゆずきりん

とにかく困ったら相談してみて!

手続きすれば年金がもらえる…といっても、その手続きのハードルが高すぎて困っている人や、本来受けられるはずの制度を活用できていない人も一定数いるんですね、これが。

とくに障害年金の申請とかめちゃくちゃわかりづらいし、素人には難しい。

やり方がわからない…と放置してしまって、生活できなくなってから周りの助言でやっと役所に来てくれたりする人もいる。

地域には民生委員さんもいるけど、その存在すら知らない人もいるし、役所に相談に行くのも不安、誰に相談していいのかもわからず、ひとりで困っている人がやっぱいるのが実態なんですよね。

お子さんがいる人の場合、何歳児健診などの機会に保健師さん伝いに状況把握ができて、支援の手が行き届くこともあるんだけど、

単身の人やお子さんがいても検診にも来ない人や、もっと早く相談に来てくれたら…と思うと歯がゆいこともある。

もし、手当や年金が受けられるのかもわからない、どう手続きしたらいいかもわからないっていう場合でも、相談すれば制度や手続きについて教えてくれるし、適切な窓口を案内してくれる。

ゆずきりん
ゆずきりん

代わりに手続きはできないけれど、どこに相談に行ってどうすればいいかは教えてくれるよー

もし、生活に困ってる、どうしたらいいかわからない時は、とりあえず役所にいって相談してみよう。

ゆずきりん
ゆずきりん

いきなり役所に行きづらい…という方は、わたしでわかることは答えます!

アース法律事務所
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