コロナ禍で自粛生活が続いてきたせいか、昨今はペットブームらしいですね。
今まで、日中は仕事などで留守がちだからペットは飼えない…って思っていた人も、
テレワークが増えたおかげで自宅にいる時間が増え、念願のペットを迎え入れた♪という話を聞くことも。

そんな我が家にも、7歳になるデカにゃんこがいますw
わんこ、にゃんこに限らず、ペットは家族同然!というのは、きっと誰しもそう思っているのではないでしょーか。
しかしながら、ほとんどの場合が、自分よりも短い生命であることが予想されるペットたち。
天寿をまっとうするまで面倒をみて、一緒に過ごす覚悟をもたないと、なかなか可愛いだけじゃ飼えないのが現実。
その反面、飼育放棄や多頭飼いなど、いろいろなペット問題も浮上していますが、

生活保護を受給したらペットは飼えなくなるって聞いたんだけど…ホント?
こんな質問をいただいたので、今日は「生活保護の受給とペットについて」書いてみたいと思います。

ペットも自分も、幸せになれる未来をきちんと考えようね
結論からいうとペットを飼うのはNGじゃない


ペットはNGじゃないってことは、飼ってもいいってこと?
手放しでペットOK!とも言い難くて、あえてこんな遠回しな言い方になっちゃうんですが…
生活保護において、ペットを飼ってはいけませんという決まりはないので、ダメではありません。
もし、「生活保護を受給するならペットは飼っちゃダメ!」って頭ごなしに決めつけられたりしたのなら、それはいきすぎた指導だなと感じます。
でも、生活保護で支給される最低生活費には、あたりまえだけどペットの分は含まれていません。
自分のことだけで精一杯なくらいの生活費しかないはずなので、ペットの面倒までちゃんと見れるの?という心配があるから、「ダメとはいわないけど…」ってなっちゃうんですね。
そんなわけで、受給の相談や申請に来られた時には、飼い続けちゃダメとは言わないけど、その分生活費をやりくりしないといけなくなるので、自分のこともペットのこともよく考えてね、とアドバイスしています。

ペットのために生活切り詰めて、自分も苦しくなり、結局共倒れになったら本末転倒だもんね…

生活保護受給中でもペットを飼っている人はけっこういる

生活が苦しい…だからといって、これまで一緒に暮らしてきたペットを手離すというのは、そんな簡単なことじゃない。
引き取ってくれる人がすぐに見つかるとも限らないし、なによりもこれまで一緒に過ごしてきた、家族同然ともいえる存在なわけです。
とくに単身の方などは、ひとりきりだと淋しい、ふと気がつくと誰とも話さない日々が続いていた、という方もいらっしゃいます。
生活保護を受給しなくちゃならない、ならざるを得ない時って、病気だったり失業だったりが原因で、何かしらメンタルも弱っていることが多いので、ペットの存在が心の支えになっていることもめずらしくありません。
そんな状況もあってか、生活保護でペットを飼っている世帯というのは意外と多かったりします。
わたし自身、訪問先でも家族同様にペットと暮らしている方をよく見てきたので、とくにペットの飼育に関して問題視したことはありませんでした。
当然、ペットの面倒を見るにはそれなりに費用がかかるので、生活は苦しくなります。
ペットの世話を理由に、求職活動や病気療養専念に支障がでてしまっては本末転倒なので、そこはきちんと両立することをお約束してもらうことが条件とはなるでしょう。
だからといって、「自分の生活の方が大事だから」っていう理屈だけで、大事なペットと離れ離れになるなんて、ちょっと耐えられないですよね。
でも、新たに飼うのならちょっと考えてほしい

すでにペットを飼っていて、なんらかの事情があって生活保護を受給することになった、もしくはなるかもしれない。
ほとんどはこういうケースなんですが、時々ごく稀に、保護受給中の方から「新たにペットを飼いたいんだけど飼ってもいいですか?」と聞かれることもあったりしました。

さすがにそれは二つ返事でいいよーとはいえない…
ペットを飼っている方はよくご存知と思いますが、ペットの飼育費用って思っているよりもけっこうかかります。
犬や猫、うさぎ、ハムスターや小鳥…どんなペットかにもよるけど、人間と同じものを食べないならエサ代はマストです。
うちは猫1匹ですが、エサ代、トイレの砂、諸々が毎月数千円単位でかかっています。
病気などしようものなら、治療費はめちゃくちゃかかります。
元気だし大丈夫!と思っていたうちの猫も、今年の初めに急性腎不全になって約1週間、緊急入院になりました。
入院と通院だけで約20〜30万円くらいの治療費請求がきて、アイタタタってなったものです。
もし手術とかになったていたら…きっともっと治療費が跳ね上がっていたので、背に腹はかえられないといえどゾッとします。
生活保護受給中は保険加入も貯蓄もできないので、そんな治療費どうやって払うの?ってなりますよね。


そんなことになったら…親戚や友だちから治療費を借りるしかないよ

ちょっと待った!生活保護受給中は借金はNGなの…
そうなんです…どんな理由であろうと、借金はダメなんです。

ええ?!だってペットのピンチなのに…
生活保護受給中に、身内や知人から金銭を受け取った場合は、それは収入として扱います。(貰っても借りても同じです)
なぜかというと、生活保護費というのは、そもそもその人が生活するうえで、最低限度に足りない分を支給するものです。
もし、生活保護を受給するよりも先に、他に活用できる資力があればそれを優先し、足らずを補うという考え方をします。
すなわち、身内や知人からお金をもらったり借りたりすると…
「そのお金は生活費に使えるよね、じゃ、その分生活保護費は減らしてもいいよね」
ということになってしまうのです。

そんな、ひどい…

気持ちはわかるけど、逆の立場になって考えてみようか。
自分のお給料や年金などの収入で生活しているのなら、使い道なんて自由じゃん!って思うのだけど、自力でなんとかできないため、生活費を税金から支給されているわけです。

身内や知人からお金もらえるんだったら、わたしたちの税金で生活保護費もらう必要あるの?ペットの前に自分が援助してもらえばいいのでは。
そう考えるのが自然なのではないかと。
ペットの話を別問題として考えた時に、自分の生活費は生活保護で補填してもらって、何か事情がある時は身内や知人からお金がもらえることを良しとするんだったら、やりたい放題できちゃうって思いませんか?
極端な話、「生活保護じゃ足りないから、援助してもらってブランドバック買う」っていうことが認められちゃうってことです。
ペットとブランドバックは違うけど、理屈は同じことなんです。
ペットがダメというのは生活保護でルール化されていませんが、身内や知人からの援助(借金も含む)は収入として扱うことはルール化されています。
なにが言いたいかというと…
ペットが元気であれば、節約ややりくりでなんとかなっても、ペットが病気になると一瞬にして詰んでしまうのです。
ペットは可愛いし、癒されるし、心の支えにもなる…とはいえ、何かあった時に面倒見れなくなったら、最後は手離すしか方法はなくなります。
いざという時は、ペットを手離す覚悟と引き受けてくれる人を確保する。そこまでは想定しておきましょう。
自分にとっても、ペットにとっても、幸せになれる道をきちんと考えてあげてくださいね。


ただし、ペットを飼うのに許可が必要なわけでもないので、黙って飼うという強硬手段にでられると何も言えないんだけどね
そう、そもそもペットを飼うのに許可なんていらないんですよね
こういってしまうとミモフタモナイのですがw
もし相談を受けたら、生活を立て直してもらう、自立してもらうための支援がケースワーカーとしての仕事なので、総合的に考えてアドバイスすることになります。
ペットを飼うことが心身に良い影響を与えて生活もやりくりできるのであればいいけれど、
生活が成り立たない、就労の妨げになる…例えば、ペットを家に置いていけないから短時間しか働けない!とか言いだしちゃうようであれば、本末転倒ですよね。
生活を立て直してからペットをお迎えした方がお互いに幸せになれます!

もしペットを飼えなくなったらどうしたらいい?

ペットで犬、猫を飼っている人が保護受給の相談や申請に来られた時に、

犬(猫)を行政で引き取ってもらえる制度ってないんですか?
そんな質問をされることもありました。
原則としてペットは生涯飼育することが義務付けられていますので、行政も犬猫の引き取り自体を辞めているところが増えているようです。
引き取ってくれる制度があったとしても、どうしてもやむを得ない事情がある時に限られているとか、かなりハードルは高いです。
岡山市のHP→平成25年9月1日より動物愛護管理法が改正されペットの終生飼養について明示されました
行政が引き取るということは、保健所…すなわち、殺処分されるということを意味します。
なるべく殺処分される動物を減らしたいとの思いから、自治体によっては、さまざまなペットの里親活動団体などと連携しているところもあるようです。
しかし、それでもやはり簡単に引き取り主は見つかりません。
まずは民間やNPOなどのボランティア団体などに相談する、ネットでも里親活動のサイトなどもあるので、いろいろと探してみるのも方法です。
ちなみに保健所が引き取ってくれたとしてもそれは最終手段です。
わたしが在職中には保健所の引き取りがまだあったので、質問されれば制度の説明はしていました。多くの飼い主さんは、引き取られる=殺処分ということまで理解しておらず、話を聞いて安易に考えていたことを反省し、命の重さを感じて思いとどまってくれます。
なかには、自分で最後まで面倒見れないし引き取り手もない、だからといって自分が殺すわけにはいかない、有料でもいいからお願い!と連れてくる方もいました…(自分が手を下さないのであれば、罪悪感はないのかも?)
そうやって引き取った、わんちゃんや猫ちゃんを、保健所が引きとりにくるまでの間、執務室内で保護することもあったのですが、檻や箱に入れられて尋常じゃない雰囲気を察して、鳴き叫びながら抵抗するわけです。

執務室内に響き渡る鳴き声に耐えかねて、自宅に連れて帰った職員さんもいました(その後幸せに暮らしています)
可愛い、飼いたいとお迎えするのは簡単ですが、ペットもひとつの命があります。
いろんな事情はあるでしょうが、一度お迎えしたら途中でやっぱりやーめた、って無責任に、簡単に、手離すことはできません。

どんなことがあっても、最後まで面倒みる自信と担保がないと、癒しと可愛さだけではオススメはしません。


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